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ミューズポート観劇ツアー「マハゴニー市の興亡」 at 神奈川芸術劇場

ボスロボことムネザワです。
昨日は「ミューズポート観劇ツアー」ということで、20名の生徒さんと神奈川芸術劇場の演劇「マハゴニー市の興亡」を観てきました。

演出は白井晃、出演は山本耕史、マルシア、中尾ミエ、上條恒彦、古谷一行というそうそうたる方々。
マハゴニー市の興亡
舞台は、流れてきたならず者(中尾、上條、古谷)たちが作りあげた快楽と享楽都市「マハゴニー市」。

アラスカの金鉱採掘でひと山あてた山本耕史もここに人生で究極の快楽を求めて訪れてやってきます。

その街で生きる売春婦(マルシア)が、最も貪欲で最も冷静であるのと対象的でした。

いや山本耕史も快楽に墜ちて行く自分を冷めた目で見ているもう一人の自分がいるという点では冷静だったと言えるでしょう。
マハゴニー市の興亡
こういった本格的な演劇は、私はあまり観た経験がなく、むしろ生徒さんの方が詳しかったです(「白井晃さんの演出なら行きます!」という方が何人もいらっしゃいました)。

そういう経験値の低さもあって、何かを訴える演劇ではなく、何かを考えさせる演劇というものは、観る者に解釈が委ねられるだけに、文章を書くのって難しいですね(;^_^A

この演劇、単純な道徳と不道徳という価値観の対立を描いたのではないことは明らかで、そこには誰もが持つ「大衆の中の孤独」を感じずにはいられませんでした。

いや、この演劇が誕生した時代背景(1920年代ドイツ)を把握してからの観劇でしたから、そう感じたのかもしれません。後だしジャンケンのようで申し訳ない解釈ですが.....
マハゴニー市の興亡
僕が感じたのは、結局「マハゴニー市」って当時のドイツそのものなんじゃないか?ということでした。

第一次世界大戦の敗戦と巨額の賠償金はドイツを奈落の底まで落としたわけですが、その反動としてドイツ(ワイマール共和国)には退廃と享楽の時代が訪れます。
前衛的なアート、享楽的な音楽、シュールな映画作品の数々.....

そうそう、この演劇用のオリジナル楽曲もあったのかもしれませんが、この時代の「キャバレー・ミュージック」(作曲はクルト・ヴァイル)と思われる音楽の数々が演劇で沢山使われていました(サウンドトラックがあったら欲しいレベルで)。

退廃と享楽に溺れる人たちが行き着く先は絶対的な「孤独感」だと思うのです。そして孤独の反動として今度は強力な全体主義を求めてくるでしょう。
大衆が一致団結して一つの目標に邁進する時、少なくともそこには孤独感はないですから。見かけ上はね。

この時代の次にドイツ国民が選んだナチスドイツの台頭が正にそれだったんじゃないかと思います。
劇作家であるベルトルト・ブレヒトは、あるいはその点を予言していたのかもしれませんね。
塩田千春「鍵のかかった部屋」
(同じ神奈川芸術劇場で開催されていた塩田千春「鍵のかかった部屋」)

まあ、そんな生意気な事を書きながらも、出演者の方々の重厚な演技力に圧倒されましたというのが一番素直な感想です!
とりわけ中尾ミエさん70歳であの発声と歌唱力は凄すぎると思いました(マルシアも!)。

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