2022.02.16
アレサ・フランクリンの伝記映画「リスペクト」を観にいきました！
こんにちは。インストラクターの礒部です。
全くフリークではないですがたまに「観たい」と思い立つと映画館に行きます。
昨年末は久々に衝動に駆られ上映館を調べたのが映画「リスペクト」。
米国出身のシンガーソングライター、音楽史に名を刻む「クイーン・オブ・ソウル」と呼ばれるアレサ・フランクリンの伝記的映画です。
ちょっと足を延ばす感覚の距離にある映画館でしかも見に行けそうなタイミングが朝10時の回だけ。ま、休日ナマケモノ対策にもちょうどいいかと予定決定。観に行きました。
歌声って自分の内側から湧き上がるエネルギーや感情を乗せてると思うんです。
歌が上手い下手は関係なくて、市井の人に当てはまると思っています。
それは言葉でいい尽くせない思いがあればあるほど。
（以下、多少ネタバレご容赦ください）
子供の時から天才音楽家として知られ、父の教会でゴスペルを歌うアレサ。
時代は1950年代-60年代、人種差別への怒り、絶望、憤り、悲しみ、願い叫び、公民権運動という変革への想い。当時の市井の人の感情、そして市井の人であっただろうアレサ自身の感情を彼女の与えられた歌声で放出していく。歌って歌っても変わらない、でも歌う。
歌い続けろという父の庇護の元、庇護という顔した家父長制の闇。
人種の差別とは別に、パートナーシップにおける男尊女卑への怒り、屈辱、恐れ（実際に黒人としても女性としても苦難に遭ってきたことが描かれています）。
そういった感情を天から降ってきたかのように（映画ではそう見えた）名曲に変えて圧倒的歌唱力で世に放つアレサ。
歌を盾にも鉾にもして長い闘いを超えて、アレサは何者でもないアレサ・フランクリンという自分自身を獲得していきます。
自由（freedom）！自由（freedom）！自由（freedom）！
ああ、こうして「Think（1968）」が出来たのかと鑑賞しながら心がふつふつとしました。
この歌のシーンがすごい、とか書ききれないほど全編通してアレサを演じたジェニファー・ハドソンがすごかった。アレサから直々にアレサ役のご指名があったんだそう、アレサを全身で演じ切ってらしたと思います。
歌手として世に出たあとも裏切りやヒット曲への苦悩が続くアレサが求めつづけるのはやっぱり ”Who am I ”
成功を手にしても心の平安、とは遠いところでもがく彼女が劇中描かれていきますが、そのもがきを100万倍希釈したくらいの心の苦しみ（そもそも成功すらしてないですが）は市井の人代表の自分のハートにも棲んでるな、と、そいつをよしよしと撫でてあげつつ、ポップコーンほうばりつつ物語も終盤へ。
1972年にアレサの発案で行われた教会でのライブをそのまま録音したというシーン。
子供時代から宣教台に立ち市井の人を慰め奮い立たせてきた彼女がみなの前に帰ってきます。
黒人教会の礼拝形式のまま、牧師さんの説教のような司会から始まるライブ。教会の聖歌隊（サザン・カリフォルニア・コミュニティ聖歌隊）と共にアレサが歌います。２日間にわたって行われたというライブは「至上の愛～チャーチ・コンサート～」として発売され、アレサはグラミー賞最優秀ソウル・ゴスペルパフォーマンス賞を得ます。そして今もゴスペルの名盤として愛されるアルバムです。
そのアルバム中の「アメージンググレイス(Amazing Grace)」の歌唱シーンで私涙腺崩壊しました。いやー。
全編の中で一番、アレサの中の「自由と解放」「繋がりと安心」「希望」そして自分は自分でいいという強さ、そいういったポジティブな感情が歌声になっているなと思いました。
そう思って見れちゃうジェニファー・ハドソンの演技、歌唱、魂のすごさよ。
と鼻水こっそりかみながらいたら、エンドロールで流れるアレサご本人の「ナチュラルウーマン-(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」の歌唱シーンでまた号泣。ブラボー。
観に行ってよかったです。スタジオセッションから曲が生まれる様子も再現がすごくて、立ち上がって自分も一緒に踊りたくなったりもして。白人プレーヤーと音楽で繋がる素晴らしいシーンでした。
個人的にはダイナ・ワシントンを演じたメアリー・J. ブライジの歌もがっつり聞きたかったなと、あとで久々に「Family Affair」聞いたりしました（よみがえる学生時代）。
音楽が好き、歌が好きな人にはぜひ観てもらいたい映画です。
というわけで、久しぶりのスタッフコラムでした。ではまた～(^^)
