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1998年の隠れ名曲 Pal@Popの「空想X」

こんにちは、ムネです。

今からちょうど20年前、当時ですらほとんど売れなかった「名曲」について書いてみようと思います。

Pal@Pop(パル・アット・ポップ)というミュージシャンの「空想x(エックス)」という曲です。

1998年3月1日にリリースされました。


(Pal@Pop – 空想X)

渋谷を舞台としたこの曲、主人公たちは当時の高校生(女子高生?)たちです。
彼らの鬱屈とした感情、やり場のない怒り、一方で人と人とのつながりを求める焦燥感、自分が守られたい「何か」を求めてセンター街をさまよっています。

あっ、まだSNSなどで人がつながらない時代の話です。

何よりもサウンドが素晴らしい。
曲は当時としてはかなり洗練されたHip-Hopで始まります。

センター街の交差点 人混み 信号変わって
人間流れて 他人って無機質 なんだかムカツク・
爆弾あったら一つ使っちゃう みんな壊しちゃう・
渋谷をまるごと 「スワロウテイル」って映画の広告
大きな蝶々に夕日が奇麗
でもこれでおしまい
おしまい おしまい?

そしてメロディアスで美しいサビ(H2Oの「想い出がいっぱい」にちょっと似てますが)に至る意外性が素晴らしい。

インサートされる女子高生たち(?)の「街の声(本当に録音したもの)」も印象に残るもので、音楽として極めて完成度が高いと思うのです。

空想エックス無限大
歌おう心を癒すメロディー
優しい愛に包まれて 想像エクスタシー YES
一つに結ばれるリアリティー
気持ちい未来の生き方を考えよう

1998年当時、CDショップで働いていた私が、最も印象に残っている作品のひとつです。
ついでに言えば、クオリティが高いにも関わらず、ほとんど売れなかったCDというのも印象に残っています。
(もちろん、渋谷が舞台の曲を京都で売るというのも無理がありますが)
Pal_at_pop空想X
ジャケットはこれ。

1998年というのは、8cmサイズのシングルから12cmサイズのシングルへの過渡期でした。
この作品は8cmフォーマットでリリースされています。

「過渡期」は単にCDのサイズだけではありません。
「ポップ・カルチャー」というくくりでも大変動のあった時代でした。

1995年ぐらいからじわじわ始まった若者のオルタナティブ文化がピークを迎えたのがこの頃だったと記憶しています。

ポップ・カルチャーの主導権は女子大生(1980年代)から完全に女子高生たちへと移り、ギャル語、ガンクロ、ルーズソックス...要するにオトナからみると何がなんだかわからない文化へと変貌を遂げた時代でした。

「世代や文化の分水嶺」だったと言っていいでしょう。

やや後になりますが、この時代を見事に言い当てた曲があります。
2000年5月、フォーク・ユニットのブリーフ&トランクスが「ブリトラの反乱」というアルバムで歌った「チョベリバ」という曲です。
ブリトラの反乱
(ブリーフ&トランクス – ブリトラの反乱)

ノープロ グーキー パチコク
ソクサリ オナチュー センムカって
なんなんなんだよその言葉は
外国人がかわいそう
日本語覚えたくても覚えられない
嫌でも耳に入り
体中に響きわたるよコギャル語が
もうやめてくれ… ジャネバイ

確かにわからない.....
曲の最後にはこんな歌詞もあります。

最近の若いもんは
わけわからんと20代が首をかしげる
もうやめてくれ… チョコンバ

さて当時、自分が勤務していたCDショップでは系列で女子小中高生向け雑貨屋さんもやっていました。

たまに棚卸の応援に駆り出されるのですが、売っているギャル向け雑貨の「理由と目的」がわけのわからないものだらけだった事が忘れられません。

「わけわからん」と首を傾げながら、ルーズソックスの在庫数を数えていたのを思い出します。

Pal@Popの正体は高野健一というシンガー・ソングライター&音楽プロデューサー。どちらかといえば裏方的な活動の多い人です。

僕はこの人のような「サウンドをクリエイトする」ミュージシャンというのが好きでして、一時は彼のCDを色々と集めたこともありました。
でも「空想X」ほど創造性に富んだ作品を作り続けるのって、本当に難しいのかもしれません。

1998年という時代の「賛歌(アンセム)」を作った高野さん、
この方は、この一曲でも歴史に残るべきだと思っています。

どんな時代の作品でも、その時代その時代を切り取っていながら、普遍の美しさを持っている作品は滅多にあるものじゃありません。
この曲には1998年当時の文化がぎっしり詰まっていますが、一方で「世代の分断」とか「つながり」という普遍のテーマが詰まっています。

数年前、高校生だった僕の娘がたまたまこの曲を聞いて「滅茶苦茶いい曲だ」と感激しながら言っていました。
リアルタイムでこの曲を経験した僕とは違う感性で、この曲に感じる所があったのだと思います。

もうひとつ興味深いことがあったので、僕は娘に尋ねてみました。
「ここに出てくる女子高生の話し言葉って、古いの?」
「うん、古いなぁ」

1998年といえば、ちょうど小室サウンドのブームが沈静化しつつある頃でした。
そして宇多田ヒカルと椎名林檎、そしてロックバンドのくるりがデビューしたのがこの年です。
彼らがいまだにポップカルチャーの中で、確固たるポジションにいること、ある種の先鋭性を持ち続けていることを思うと、
98年頃の変動がどれだけ大きなものであったかが、感じ取れると思うのです。

さて、当時のオルタナ文化で育った子たち。
今はどうしているんでしょう?

誰とは言えませんが、ウチのスタッフにもいたりしますよ。

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